お客様

大丈夫です、ずっとこちらで、保管しておきますから、

お客様

大丈夫です、あなたの、どこかで紛失した 遺失物は・・・・

遺失物保管所の

鋼鉄の扉を開けると

ヌルヌルした巨大な数珠が 床一面に転がっているのを

駅員は

みる

ああ、やられる・・・・

遺失物は腐臭ばかりだ

遺失物は残骸ばかりだ

駅員は誰かに抱きしめられる、あなたが好きだとキスをされる、

駅員は誰かに唾を吐かれる、あなたが憎いと拳をぶつけられる、

駅員は誰かから石を投げられる、あなたが悪いと石をぶつけられる、

ああ、なんてここはくさい場所なんだ・・・・

駅員の身体は悪臭と汚物に包まれる

残ったものとは 誰も持ってゆかなかったもの

バキバキリンリン

生きてる数珠にくるまれグルグル巻かれて肋骨を折られる駅員たち

駅員のあわれな身体は風にちぎれてふわふわしながら

やっとのことでくっつけてまた生き返るプラナリアンの駅員たち

ホームと電車はまったく違う世界なので

それを行き交うときには身体がキシリと変質するのです

 とぼ とぼ と ぼ と ぼ と

乗り込む乗客が遺失してゆくたくさんの糞

ああ、人間ってのは何て臭くて汚い生き物なんだ・・・・・

ということを 駅に残っている人だけが 知る

お客様

大丈夫です、ずっとこちらで、保管しておきますから、

お客様

大丈夫です、あなたの、どこかで紛失した 遺失物は・・・・

誰も見てないエキシビジョン

星座のリンクで踊る

駅員たち